実績

実績

弊社で作られるものの多くは夢を与える「カタチ」でなくてはいけません。
誰がどのように作ったのかということは知られ無いほうが良いのです。職人の名を残さない日本の庭園に
似ているのかもしれません。
一度ご連絡をいただければポートフォリオをお送りいたします。
その中でも一部、ご紹介できるものをこちらでお見せいたします。

2023年8月29日

増田セバスチャン様

先輩の紹介から、アーティスト・増田セバスチャン様プロデュースによる店舗装飾のお手伝いをさせていただく機会を得ました。

日本で展示されていたものが海外に持って行かれたという事はこれまでに経験しておりました。そういった案件はHP等での情報公開がNGな場合も多いのですが、今回はアーティストご本人にご快諾いただいた上で紹介させていただきます。

HP上で公開できない案件などについては、ご連絡いただければご覧いただくことが可能です。お気軽にお問い合わせください。

場所はニューヨーク、「ちょっと補修に行ってくる」というようなことが出来ないくらい離れています。最初から海外でお披露目という案件はこちらが初めてでした。

天井から吊られている猫3匹と口紅型の照明器具を製作させていただきました。
3匹の猫たちはゆっくりと回転するような仕掛けになっており、それぞれ顔の後ろ側が寿司のネタであったり唇であったりと、まずはその奇想天外なデザイン画から見せていただきました。全体の色使いはパステル調で、マグロの上には緑のソースが掛かっていたりシャリも青やピンクで描かれており、それは私たちの常識をくつがえすものでした。

ニューヨークと日本を行き来されているセバスチャン氏とは、京都の山奥にある弊社に何度も来ていただき入念に打ち合わせを行いました。お話を伺っていて、私たちは今回のお話が商業立体造形物でありながら作家性が滲み出てくる作品であると感じ、それを表現するためには工夫が必要だと考えました。ポイントは不思議なタッチで描かれた「猫の目」と設定し、そこで通常の制作方法の目と瞳孔部分を凹んだ形状にしてエポキシ樹脂を流し込んだサンプルをいくつか制作して検討していただきました。最終的に宇宙のフィルムを瞳の裏部分に仕込んで内側から照らす内照式となりました。

従来製法で作られた目
試行錯誤の変遷
成型によって気泡ができてしまうトラブルや熱収縮対策のため2回に分けて注型する手間など、いろいろなことがありました。

高さが50センチほどの大きいリップスティックは実際に天井に吊られる照明器具として成立させる必要があり、当初はマスター原型を一つ作って型取り・FRP成形という方法で考えていましたが、内部の照明灯故障の際の交換を含むメンテナンス性や周りに付くダイヤモンドの飾りの固定方法、製品の色ごとの入角、塗り分け時のマスキング作業、最終製品における気温などによる変形を考慮し再度リップの設計をしなおしました。最終的に、先端部分は透明FRP、円柱部分は塩ビ管、リングなどは3Dプリント、という仕様で対応しました。写真ではわかりづらいですが、初めて使う塗料(㈱オリジンのミラー調塗料)のおかげもあり、とても高級感のある仕上がりに持っていくことが出来ました。

今回も初めてのことだらけな案件ではありましたが、ニューヨークでは3000人もの予約待ちがあるそうで我々としても嬉しいかぎりです。

2023年7月30日

REMA 像プロジェクト

自社所有のサンドプリンターを用いてアーティスト・REMA様の大型彫像を製作しました。
高さが 3.6mの作品をどのように創りあげるか、作家さんとの度重なる打ち合わせの中、設置場所の耐荷重制限等、様々な難問にぶち当たりました。中でも一番の苦労は砂で薄くプリント出力したままでは弱すぎるという事でした。
通常、多くの砂型は型枠の中で押し固めるような方法で作られており、そこに高温で溶かした金属を流し込む迄の間そのカタチを保ち、流し込んだ金属が冷えて固まると砂型を破壊して中身を取り出します。このような工程を目的としているため、砂型自体は壊れるように作られています。
そこで弊社ではプリント出力された砂型に対し、先ずは窯で焼き入れを行い、その後表裏両面から補強材を含侵させる事で砂型の形状を保持さたせることができました。

この作品は作家さんの意向で敢えて塗装をしていません。それは、プリント出力時に使う樹脂が無色化し砂の本来の色に戻ってゆく様や、この0.2㎜の砂で造形された集合体がいつかバラバラになってしまうかもしれない、と言うこともこの作品の一部とされているからです。
そんなハカナサもこの作品からは伝わってくるのではないでしょうか。

2022年10月31日

兎珈琲様

以前から何度かご依頼を受けているお客様からの特急案件。
廃業される業者様から受け継いだ真空成型機を利用して オリジナルのお面の制作をさせてもらいました。

  • A. 3Dデータ作成
    B. サンドプリント雄型
    C. バキューム成型
    D. トムソン型
  • E. 塗装
    F. 塗装完成
    G. 樹脂プリント品

場所は京都の二条城の前。「#FR2」初の飲食店のオープンに向け、メインキャラクターの京都版を作ってほしいとの依頼がありました。最初は樹脂プリント品(画像G)を作成し依頼主様に形状の許可をいただいてから、とりあえずオープンまでの1ヶ月の間に何個つくれるのかを社内で相談・検討いたしました。ですが、件の真空成型機は扱い方も分からず、均一に成形することもままならないような状態でした。当初はお面の図柄が印刷されたシートを使って成形するという方法にチャレンジしてみたのですが、それについては早い段階で諦める事となってしまいました。これが出来ていれば、もっと安く多量に作ることが出来たと思います。また、この案件が決まったのと同じ頃、社内では導入して間もないサンドプリンターの稼働テストを行っていました。サンドプリント製品は多孔質という事もあり、バキューム成型の雄原型に使えないか、と実験してみたところ、うまく利用することが出来ました。この様なサンドプリント品の新たな使い方の発見は、弊社にとっては嬉しい二次副産物となりました。結局、50枚という超少量生産で1枚あたりの単価はびっくりするぐらい高いものになってしまいましたが、スタッフの皆様が出来上がったお面をお祭りの時のように頭に斜めがけしたりと、オープン時の雰囲気作りに一役買うことが出来ました。

https://www.instagram.com/_usagicoffee/
2020年11月3日

MOONKERY様

来店されたお客様が印象に残るような大きな大きな輝く月を作ってほしいという依頼がありました。
宇宙船の中のような壁画に包まれています。依頼のあった時期は解体作業が進められており、2階の窓から入る最大の大きさで作ってほしいというものでした。
透明のFRP成型はこれまでも小さいものでは経験がありましたがこの大きさはとにかく圧巻でした。

最初はガラス繊維の重ねる枚数を調整して実際の月のような色合いでマダラ具合を表現してみるのはどうだろうか、とそこからサンプル製作に入りました。徐々に大きさも大きくし、塗装やクレーター表現もいろいろと試行錯誤を繰り返しました。
一番の苦労したところは一体成型をどのようにして行うかでした。既存の球体の型を利用して成型すれば表面はきれいに作ることが出来るのだが半球同士をつなぎ合わせる時にどうしても接合痕が出てしまうというところをどのように克服するか、また実際の月の模様をどうやって表面に反映させるかということでした。
そこで行きついたのがNASAが公開している月のテクスチャーマップでした。
それをスイカ型に分割しバルーンの型紙として使用してもらい月の模様が印刷されたバルーンの球体を作り、その上から透明FRPを成型しました。最後に上部の照明固定用の穴からそのバルーンを抜き出すことでより実際のデータに近い模様やマダラ具合が出来るのではないか仮説を立て、試作用の小さいバルーンを製作してもらいました。
実物はそのデータから作り直しました。塗装も実際の照明を仕込んで出来るだけ薄くむらの無いきれいなものを作ることを心掛けました。
最終はクライアント様ともども弊社に来ていただき目の前で調整し、結果大変満足していただくことが出来ました。

https://www.moonkery.com
2020年11月2日

大型ドローン

弊社では全長約4mの大型ドローンの開発に携わらせていただきました。
我々は通常、「いかに本物らしく」造るかというところを求められている職業なのですが、今回は本物の機能も求められるものでした。

出来るだけ軽く強く作る必要がありました。理想は人が乗っても大丈夫な機体。4枚のプロペラで持ち上げられる重さが決まり、ボディに穴を沢山開けることで表面積が随分減りました。しかも厚みは0.8ミリで仕上げてほしいというものでした。オートクレーブの設備もない中、EPS(発泡スチロール)メス型でカーボン繊維を使って成型するに至りました。
成型方法もハンドレイアップ法でいかに強度を上げるかという難問にCNF(セルロースナノファイバー)を利用することで解決いたしました。2019年8月5日我孫子にあるNECの施設で200人を超える観客の見守る中無事テスト飛行することが出来ました。

また、その後の展示会などに出展するための運搬プランを考えさせていただきました。トラックからはみ出さないぎりぎりの角度に機体を傾けさせて宙吊りで分解せずに運搬できました。展示会の設営や撤去の作業の短時間化に貢献できたと思います。
初めてのことだらけのこの事業では多くを学ばせていただき、大変ありがたい貴重な経験をさせていただくことが出来ました。
今後も新たな技術にチャレンジして参りたいと思います。

2020年11月1日

新宿駅地下鉄立体広告

合計7体の立体を制作させていただきました。このシリーズのキャラクターの命ともいえる赤い目を再現するためにLEDを内蔵しています。LEDが切れると大切開手術が必要でしたが展示期間中切れることもなく無事展示を終えることが出来ました。

柱から「にゅるっと」出てきてる表現であったため後ろから一体でゴム成型する事ができました。CGでは細かいパーツまで一個一個作りこみましたが最終的には半分以上の部品が「にゅるっと」した造形の中に埋もれてしまいました。
3Dプリントした原型をシリコン型で型取りする前に成型の事を考えて粘土で埋めてもらった部分が多々あります。
こうゆう実制作の職人の技があることで、CGではできなかった部分、思いつかなかったこと、見えなかった部分を補ってもらっています。着色したゴムで成型された直後の製品にも独特の透明感があってとてもかっこ良く感じました。
素材の持つ力を再認識できた瞬間です。これからは塗装で覆ってしまわない、素材の持つ力を感じられる製品作りも努力して挑戦していきたいと考えています。

2020年10月31日

造形作家 作品

弊社ではこれまで数々の名だたる作家作品の立体物制作のお手伝いをさせていただきました。
それらの作品群は我々にとっては勉強することばかりでした。